第143回『文書館のしごと アーキビストと史料保存』
2024年5月17日
都立多摩図書館のお隣には、都立公文書館があります。
文書館という施設が持つ機能や役割自体は知っていても、その仕事について深く知る機会はあまりありません。文書館の仕事とはどのようなものなのでしょう。
本書は歴史的価値のある資料を散逸させず守り抜くことの重要性や保存のための技術等、埼玉県立文書館のアーキビストとして四半世紀もの間働いてきた著者の活動とその仕事の専門性を知ることが出来る1冊です。
日本における文書館の歴史の中には、古文書に対する世間と文書館の職員との認識のずれ等、複雑な部分も多くあり、民間にある古文書をどう取り扱ってきたか、そしてこれからどう保存・公開していくのか、課題の面も非常に興味深いです。
アーキビストと図書館司書の仕事は異なる部分がたくさんあります。けれども、貴重な資料を未来まで継続的に提供していくという点では、非常に近い存在だと感じます。
アーキビストと、彼らに守られながら長いときを過ごしてきた文書たちの存在に触れてみませんか。
『文書館のしごと アーキビストと史料保存』 新井浩文著 吉川弘文館 2024.4
(都立多摩図書館請求記号:018.0/5109/2024)