第23弾「オペラ!オペラ!!オペラ!!!」
2010年10月19日
めくるめく超絶技巧に彩られた歌。登場人物を引き立てる衣裳や舞台装置。陰影に富んだ照明。そして、時には大胆な演出で物議を醸す。オペラには、総合芸術の名にふさわしい魅力が満載です。そんなオペラについて、いくつかの資料をご紹介します。
『グランドオペラ 44号(2010年春)』 音楽之友社 2010年刊
年2回刊行される日本で唯一のオペラ専門誌。国内外のオペラに関するトピックスやオペラ公演のレビュー、オペラ歌手等へのインタビュー、各オペラ団体や来日歌劇場の公演情報、DVD・CDレビュー等を掲載しています。
『一冊でわかるオペラガイド130選』 山田治生[ほか]編著 成美堂出版 2008年刊
オペラガイドはいろいろありますが、まずはこの一冊。各作品について、見開き2ページまたは1ページで、あらすじ、見どころ・聴きどころ、主な登場人物、演奏時間、おすすめCD・DVD、舞台写真をコンパクトにまとめています。特に、演奏時間は、終演時刻の見当がつけられるので便利です。この130曲で、日本で通常上演される作品は、ほぼ網羅されています。
『プッチーニ作曲オペラ「ラ・ボエーム」』 平尾力哉著 文芸社 2009年刊
日本における代表的なオペラ演出家のひとりである著者が、「ラ・ボエーム」の台本と音楽を詳細に分析し、どのように舞台空間を作るべきかを述べています。オペラの演出にあたっては、台本だけでなく、楽譜もきっちり読み込まねばなりませんが、そのあたりの実際がよくわかります。
『日本のオペラ年鑑 14巻(2008)』 日本オペラ連盟 2009年刊
その年に全国で行なわれたオペラ公演に関する概況や記録を掲載しています。これを見ると、首都圏や関西だけでなく、地方でも困難を乗り越えてオペラが上演されていることがわかります。2008年版では、この他に、昭和音楽大学オペラ研究所の活動報告と、「こどもオペラ」活動に関する考察が掲載されています。
『びわ湖ホールオペラをつくる』 上原恵美[ほか]著 新評論 2007年刊
琵琶湖畔に建つびわ湖ホールは、故若杉弘氏による、9年間に及ぶヴェルディ日本初演オペラシリーズなどで、注目を集めました。このびわ湖ホールのスタッフによって、オペラ制作のノウハウをまとめたのがこの本です。第1章と第2章は、2004年に上演されたヨハン・シュトラウス「ジプシー男爵」の、制作ドキュメントになっています。関係者の奮闘ぶりがよく伝わってきます。
1本のオペラの舞台には、実に多くの人々の努力と想いが込められています。オペラは、舞台に出る歌手たちが主役ではありますが、舞台に出ない人たちの働きにも多くを負っています。オペラを観る時に、こんなことも考えると、興味が深まるのではないでしょうか。