『東京の地形 湧水編』の巻
平成28年12月1日作成
情報サービス課都市・東京情報担当
「都市のわき水実は水道管漏水も 改良進み湧水量減る 東大生ら調査」
(『読売新聞』 平成27年6月7日 朝刊17面)
- 「東京都立中央図書館 企画展示 東京凸凹地形 地形から見た東京の今昔」
(報道発表資料 2016年11月9日 教育庁)
- 「東京都立中央図書館 公開講座 東京凸凹地形散歩」
(報道発表資料 2016年11月22日 教育庁)
このコーナーでは、都政や東京のニュースや話題をとりあげ、インターネット情報と都立図書館の資料をご紹介します。
さらに詳しい情報をお求めの場合には、ご来館いただくか、電話(03-3442-8451)、Eメールレファレンス、文書でお問い合わせください。
以下の期間中、このページで紹介している資料を都立中央図書館1階の都市・東京情報コーナーで展示しています。ぜひご来館ください。
「東京の地形 湧水編」
平成28年12月2日(金)〜平成29年1月11日(水)(休館日:12月16日(金)、20日(火)〜26日(月)、29日(木)〜1月3日(火))
都内には616ヶ所、23区内だけでも235ヶ所もの湧水(ゆうすい)地点が確認されています(平成25年度調査)。水が湧き出る場所には地形・地質が大きく関係しており、東京の湧水は台地の崖の前面から湧く「崖線(がいせん)タイプ」が多いことがわかっています。日本百名水の一つであり国分寺崖線に位置する国分寺市の真姿(ますがた)の池湧水群などがこのタイプです。
湧水は、生活用水としての利用が少なくなりましたが、災害時における飲料水など貴重な供給源として期待されるものもあります。さらに、観光的に利用されたり、公園にうるおいをもたらす水辺空間として利用されたりするなど、湧水は人々が自然の水とふれあえる大切な場となっています。
今回は湧水に関連する情報として、都内の湧水めぐりガイドブックや、湧水のもととなる地下水に関する情報などをご紹介します。
*参考
☆印は都立中央図書館所蔵の資料です。★印はインターネットのホームページで関連の情報を見ることができます。
東京の湧水をめぐる
湧水ガイドブック・マップ
☆『東京湧水せせらぎ散歩』高村弘毅著 丸善 2009年6月 (T/ 452.9/ 5006/ 2009)
☆『東京の自然水124』廣田稔明著 けやき出版 2006年4月 (T/ 452.9/ 5003/ 2006)
☆『東京の湧水 水を訪ねる小さな旅』平松純宏写真・文 のんぶる舎 1998年5月 (T/ 0・450/ 3024/ )
☆『東京湧水探訪 等々力渓谷、深大寺、はけの道など44コース』百瀬千秋著 けやき出版 1995年7月 (T/ 0・450/ 3008/ )
☆『新・東京の自然水』早川光著 農山漁村文化協会 1992年6月 (T/ 0・450/ 3001/ 92)
☆『多摩の湧水めぐり』百瀬千秋著 けやき出版 1992年9月 (けやきブックレット6) (T/ 60・45/ 3001/ )
☆『東京の湧水マップ 平成25年度調査』[東京都環境局自然環境部水環境課編] 東京都環境局自然環境部水環境課 2014年3月 (T/ 452.9/ 5007/ 2014)
★湧水の保全東京都環境局
上記『東京の湧水マップ』のPDFファイルをダウンロードできます。その他、東京の湧水の現状や特徴を説明しています。
「東京の名湧水57選」
「東京の名湧水57選」は東京都環境局によって2003年に選定されました。山の手から多摩地区、奥多摩、島しょまで、身近に散策できる場所が選ばれています。
★東京の名湧水57選一覧東京都環境局
「名水百選」「平成の名水百選」
「(昭和の)名水百選」は昭和60年、「平成の名水百選」は平成21年に、環境省(前者は環境庁)が発表しました。身近な清涼な水であって、古くから地域住民の生活に溶け込み、住民自身の手によって保全活動がなされてきたものを再発見するとともに、これを広く国民に紹介することを目的に選定されました。
東京都では、昭和で2件(「お鷹の道・真姿の池湧水群」と「御岳渓流」)、平成で1件(「落合川と南沢湧水群」)選ばれています。
☆『名水百選 100『名水』公式ガイドブック』日本の水をきれいにする会編 ぎょうせい 監修:環境庁水質保全局水質規制課 1985年8月 ( / 4529/ 125/ 85 )
★環境省選定 名水百選環境省
☆『平成の名水百選』日本の水をきれいにする会編集 ぎょうせい 2009年3月 ( / 452.9/ 5084/ 2009 )
★環境省選定 平成の名水百選環境省
湧水のもと、地下水の話
☆『地下水と地形の科学 水文学入門』榧根勇著 講談社 2013年2月 (講談社学術文庫2158) (S/ 452.9/ 5129/ 2013)
水文学とは、自然界における水の循環などを中心概念とする学問分野のことを言います。
水環境と地形・地質・気象との関係を解き明かし、地下水を単なる資源ではなく文化・心理的な環境要因とみなし、環境問題に切り込む一冊。日本と西洋の地下水観も興味深く描かれています。
☆『地下水の世界』(日本放送出版協会 1992年刊)の改題、加筆改訂です。
☆『地下水と水循環の科学』高村弘毅編 古今書院 2011年11月 ( / 452.9/ 5114/ 2011 )
水文学の領域から幅広く論文を掲載しています。
☆『見えない巨大水脈地下水の科学 使えばすぐには戻らない「意外な希少資源」』日本地下水学会, 井田徹治著 講談社 2009年5月 (ブルーバックスB-1639) ( / 452.9/ 5086/ 2009 )
地下水がいかに大切かを述べ、地下水の問題や不思議な実態など解説しています。名水百選の各水質をグラフにまとめた巻末付録もあります。
地下水に関する総合的な学問の発展ならびに地下水の開発・保全に関する研究、技術の広範な普及を目的とした学会です。学会誌『地下水学会誌』を電子ジャーナルデータベース「J-STAGE」にて公開しています。
学会内の市民コミュニケーション委員会のメンバーが地下水に関する本の目次を紹介する★「地下水ブックガイド」もあります。
先ほどご紹介した「水文学」は、地球上の水循環および分布状況、物理的・化学特性、および生物的環境と水の相互関係を取り扱う学問です。「水文科学」とは、この中の基礎水文学にあたる部分で、自然科学的なアプローチを重視する分野を水文科学と呼ばれています。こちらも電子ジャーナルデータベース「J-STAGE」にて学会誌『日本水文科学会誌』を公開しています。
地下水の保全・管理
☆『育水のすすめ 地下水の利用と保全』西垣誠, 瀬古一郎, 中村裕昭編著 地質情報整備活用機構共生型地下水技術活用研究会著 技報堂出版 2013年7月 ( / 518.1/ 5227/ 2013 )
日本には世界に誇れる宝である「水」がありますが、持続可能な水利用を前提に水循環の健全性を守り育てる「育水」が必要と説いています。
☆『地下水管理の考え方』環境省 2010年3月 (D/ 452.9/ 5121/ 2010)
「地下水の持続可能な利用を実現するための方策」と、地下水管理における先進的な取り組みを行っている自治体の事例が紹介されています。
☆『水循環における地下水・湧水の保全』東京地下水研究会編 国分邦紀[ほか]著 信山社サイテック 2003年11月 ( / 518.1/ 5062/ 2003 )
東京都土木技術研究所(現・東京都土木技術支援・人材育成センター)などに勤める専門家によって、実務技術担当者の観点から見た東京の地下水・湧水の調査・研究の経緯などを年代別順に整理して解説しています。
☆『水みちを探る 井戸と湧泉と地下水の保全のために』水みち研究会編 けやき出版 1992年9月 (けやきブックレット5) (T/ 60・45/ 3002/ )
国分寺駅の近くから湧き出し、二子玉川駅付近で多摩川に合流する野川。その流域の井戸に流れ着く水はどこから来るのかという「水みち」を探し調べた結果をまとめています。
雑誌論文に見る東京の湧水・地下水
☆「東京の都市用水利用の変遷 ―水源としての表流水と地下水に着目して―」『地学雑誌』122巻6号通巻1051号(2013年12月)東京地学協会
☆「首都圏の深層地下水」『地学雑誌』123巻2号通巻1053号(2014年4月)東京地学協会
☆「東京の水環境」『地学雑誌』123巻2号通巻1053号(2014年4月)東京地学協会
☆「数理統計学的手法に基づく東京都の湧水の分類」『水利科学』51巻2号通巻295号(2007年)日本治山治水協会