第140回『ヌヌ完璧なベビーシッター』
2024年2月16日
パリでおきた幼い姉弟の殺害事件から始まる本書ですが、ミステリーというよりも社会派の心理劇として興味深く読みました。
犯人は一年半前からこの家で働くヌヌ(ベビーシッター)。子供に慕われ家事万能な彼女のおかげで夫婦は公私を充実させていきますが、中年のヌヌには複雑な過去があるようです。読み進むうちに両者の事情が見えてきて・・・
フランスでは子育てをヌヌに頼る家庭が多いことを本書で知りました。他にも現代フランスの生きた情報が満載。一気読みした後も登場人物達がずっと心を離れませんでした。
『ヌヌ完璧なベビーシッター』 レイラ・スリマニ著 松本百合子訳 集英社文庫 2018.3
(都立中央図書館請求記号:S/953.7/ス2345/601)